医療法人翔陽会

IMC Münster UniversityのMSc in Implantologyプログラムに入学

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IMC Münster University
MSc in Implantology program

IMC Münster UniversityのMSc in Implantologyプログラムに入学

2021/09/12

IMC Münster Universityでの日々

同期は全員で12人

私は、Unconditional OfferをいただいたIMC Münster UniversityのMSc in Implantologyプログラムに入学し、7月から授業が始まりました。このプログラムは、オンラインでのスカイプ講義と解剖実習や手技の実習などを行うスクリーニングなどの座学、提携施設や大学病院での臨床研修からなる約2年間のパートタイムコースです。 私の同期は全員で12人でした。彼らの出身地は、ドイツ国内はもちろん、イギリス、ラトビア、クロアチア、シリア、エジプト、タイ、オーストラリア、アメリカと国際色豊かで、大いに刺激を受けました。放課後にはミュンスターの美しい街路や建物を目当てに、同期のみんなとレンタル自転車でサイクリングして観光や買い物などと、充実した楽しい日々を過ごしました。

「現在のインプラント歯科学を確立した」と言われるDr. Joos

ストローマンインプラントシステムで研修や実習

座学の多くは本部のあるミュンスターで行われ、元ミュンスター大学顎顔面外科主任教授であるUniv. Prof. Dr. Dr. Dr. h. c. mult. Ulrich Joosを初めとする、各分野のエキスパート達の講義です。

Dr. Joosは、ドイツ外科学会会長やヨーロッパ顎顔面外科学会会長などを歴任した「Dr. Joosが現在のインプラント歯科学を確立した」と言われるほど、大変有名な大御所ともいえる先生です。

研究としては、特にストローマンインプラントの研究・開発に貢献しており、そのためIMCではストローマンインプラントシステムで研修や実習が行なわれています。教育としては、ドイツ国内外の大学にミュンスター大学より多くの顎顔面外科主任教授を輩出いたし、IMCはそれらの大学と提携して創設され、グローバルな専門医教育を提供しています。

センメルヴェイス医科大学でのCadaver Training

臨床の講義や研修は、ミュンスターに留まらずドイツ国内外の各施設で実施されます

Cadaver Trainingは、ハンガリーブダペストにあるセンメルヴェイス医科大学解剖学教室で行なわれました。解剖学教室のネームプレートに日本人の名前を見つけたときは、私の高校の後輩がこの大学に入学していることを突然に思い出し、担当教官と日本人の進学状況などのお話もしました。

Prof. Dr. KhouryのLive Ope Program

骨造成治療で世界的に有名なProf. Dr. Khoury

Live Ope Programは、ドイツオルスベルクにあるProf. Dr. med. dent. F. Khouryのプライベートオフィスで、講義と手術見学が行われました。

Dr. Khouryは、同期みんなから「Dr. Khouryを知らないImplantologistは、モグリだよ」と言われる程、欧米のインプラント関連学会で常に講演される特に骨造成治療で世界的に有名な先生です。

Dr. Khouryに「日本でセミナーをされないのですか」とお話した際に、「日本にはDr. Nosakaがいる」と言われ、驚きWeb検索しました。芦屋市で野阪口腔外科クリニックを開業されている野阪泰弘先生とわかり、Dr. Khouryより「Dr. Nosakaの手術もぜひ見学しなさい」と推薦されもしました。

ライプツィヒ大学病院でのLive Ope Program

かの森鴎外も学んだドイツライプツィヒ大学病院

Live Patient Programは、12人の学生がそれぞれの大学病院に配属されて行われました。

私は、かの森鴎外も学んだドイツライプツィヒ大学病院にクロアチア出身の研修医と2人で配属されました。 顎顔面外科教室に、朝の術前カンファレンスから参加し、午前・午後と手術、夕方は抄読会と、主任教授であるProf. Dr. Dr. Alexander Hemprichのもとで学びました。今でもかなり緊張した日々だったと覚えています。

ライプツィヒ大学病院では、多くの時間を手術室もしく外来はで過ごしました。手術室では、実際に手洗い・滅菌グローブをして手術の助手についていました。時には、英語でジョークが飛び交う手術室に私がいる。そのことは留学前には全く想像できないものでした。

 

ライプツィヒ大学病院でのLive Patient Program

限定歯科医師免許(Limited License)が発効され、 Live Patient Program

手術見学だけでなく、ライプツィヒ大学病院から限定歯科医師免許(Limited License)が発効され、 Live Patient Programで規定された症例に関しては、私たち研修医が実際に手術を行ないます。

Prof. Dr. med. dent. Hans-Ludwig Grafの指導監督の下、私が実際に局所麻酔下で行った、インプラント手術は今でも鮮明に焼き付いています。 特に、教訓になったのは患者説明です。患者へは医局員もしくは指導教授が事前に説明してありますが、あらためて私が患者に対し英語で説明します。説明した英語を、ついてくれた医局員がドイツ語に通訳してくれます。 その中で一例だけ手術への同意を得られなかったことがありました。今思えば、当然のことです。研修医しかも日本人が、ドイツ語ではなく英語で説明したのですから、いくら指導教授の先生方がお膳立てしてくれていたとしても難しいものがあると思います。

ヨーロッパは日本に比べ、国境を越えて人やサービスが行き来する環境ですから、患者は外国人医師にも慣れています。それでも、インプラント手術というのは、患者に多くの緊張と不安を与えているものだとあらためて感じた瞬間でした。

 

修士論文

英語で論文を書く

IMC Münster Universityの柱の一つが修士論文の作成です。IMCでは、論文の提出を

①Outline

②Material and Method/Results

③Discussion/First draft

④Final の4段階に区分しており、それぞれでチェックを受けながら、順次進めていきます。各学生にチューター(指導教官)がつき、テーマの決定から最終稿へ至るまでチューターと二人三脚で作成していくのです。たとえ、1人で論文執筆ができたとしても、チューターと共同で作成しなければ修士論文としてAccept(受理)されません。執筆の過程で行われる論理の組み立てやチューターとの議論もMScプログラムの大切な教育であるという考え方からです。

私のチューターはドレスデン工科大学のDr. Bierbaumで、彼女との論文執筆に関るやり取りは、面談・スカイプ・メールを含めて膨大な数に登りました。 修士論文の作成は、論文を書いたことも読んだこともない私にとり非常にハードルが高く、難渋しました。しかしながら、チューターの丁寧で根気強くときには厳しい指導は、大変勉強になりました。

英語論文を収集し、まとめたりしたことで、臨床に対する姿勢も変わったように思います。これまでは、成功した治療が論文ではどういう位置づけなのかを治療後に後付していました。しかし今では、治療計画を立てる段階で論文に当たり、それに基づいて治療するという正しい流れに気付けました。 また、日本語にも論文独特の言い回しがあるように、英語にも論文特有の表現がありますが、私にはまだ難しいようです。実際、私は何度も執筆を諦めかけました。その都度、励ましてくれたり、アドバイスをくれたりした同期の存在は非常に有難いものでした。

この修士論文は、歯学教育を英語で受けてきた各国同期達にとっても苦しいものがあったようです。彼らですら最後の最後までパソコンに向かい細かい修正を行っていました。 プログラムの所定の教育期間を超えても論文がAcceptされず、帰国後も引き続き取り組んでいる学生もいます。ちなみに正確な数字は忘れましたが、IMC Münster Universityの修了率は約80%です。修了できていない学生のほとんどが修士論文の不受理です。

 

Master of Science in Implantology and Dental Surgery 授与

日本人初、Master of Science in Implantology 歯学修士(インプラント)を授与

私は、日本人として始めてIMC Münster UniversityよりMaster of Science in Implantology 歯学修士(インプラント)を授与されました。

私にとってこの挑戦は初めての事だらけであり、学ぶことが多かっただけでなく、歯科医師人生の出発点となりました。英語での筆記試験と論文作成は、想像以上に過酷で何度も諦めかけました。 大学院への進学や留学と聞くと、大学人の専権事項で、大学人として生きてゆく必須条件くらいに思っていました。しかし、一歩海外に目を向けてみると、臨床医のための専門プログラムが数多く存在し、活況を呈しています。 今後は、歯科医療のグローバル化の流れは加速することでしょう。そういった点から、英語で歯科医療を学ぶことは大きな礎となるに違いありません。

ヨーロッパは、インプラントの研究、臨床の技術だけではなく、臨床教育も進んでいます。留学を通じて最先端の知識、技術を学び、またヨーロッパの文化に触れることができました。 また何よりも、世界各国から集まった歯科医師たちを同期として学ぶことができたことは私の財産です。彼らとは今でも交流が続き、様々な情報を交換しています。 最後に私の無謀な挑戦を応援してくれた患者さま、スタッフ、そして家族に深く感謝しております。これからも、Master of Scienceに恥じない、患者さまのニーズに合わせたヨーロッパスタイルの歯科治療を提供してまいります。

 

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