ただの口内炎?それともウイルス感染?
2026/09/04
「口の中に痛い口内炎ができて、食事や会話がつらい…」 多くの方が一度は経験する口内炎。
その大半は「アフタ性潰瘍(再発性アフタ)」と呼ばれるものですが、実はできたばかりの初期状態では、ウイルスによる口内炎(ヘルペスや帯状疱疹、ヘルパンギーナなど)と見た目がよく似ています。
「放置していれば治るかな?」と思いがちですが、原因によって効く薬や対処法が全く異なります。今回は、歯科医院で行う鑑別の手順と治療について分かりやすくご紹介します。
似ているけれど違う!
主な口内炎・水疱性疾患の特徴
▶再発性アフタ(アフタ性潰瘍)
すべての口腔粘膜疾患の中で最も頻度が高く、20歳代・女性にやや多く見られます。粘膜に直径10 mm以下の浅い円形の潰瘍(表面は黄白色〜灰白色の偽膜で覆われ、周りに赤みがある)が生じ、強い痛みを伴います。瘢痕(痕)を残さずに1〜2週間で自然治癒しますが、再発を繰り返すのが特徴です。
▶ヘルペス性歯肉口内炎(単純ヘルペスウイルス感染症)
初感染時に多く見られ、発熱や怠さなどの全身症状のあと、お口全体の粘膜や歯肉(歯ぐき)が真っ赤に腫れ、小さな水疱が多数発生します。水疱はすぐ破れて潰瘍となり、強い接触痛と口臭を伴います。
▶帯状疱疹(VZV)
お顔や頭を支配する神経(三叉神経など)に沿って、「お口の片側だけ」に強いピリピリした痛みや水疱・潰瘍が生じます。 ▶ヘルパンギーナ / 手足口病
夏場に小児に多く流行するウイルス疾患です。高熱とともに、お口の奥(軟口蓋やのど)や、手足に水疱・発疹が生じます。
見た目と場所の確認
①
Q1:「硬い粘膜」か「柔らかい粘膜」か?
アフタ性潰瘍は、頬の裏・唇の裏・舌・口底などの「非角化粘膜(柔らかい粘膜)」に好発します。歯肉(歯ぐき)や硬口蓋(上あごの硬い部分)には生じにくいのが特徴です。一方、ヘルペス性歯肉口内炎は歯肉全体が真っ赤に腫れる特徴があります。
Q2:「片側性」の症状か?
正中線を挟んで体の片側だけに激しい痛みや潰瘍が集中的に出ている場合は、帯状疱疹(VZV)を疑います。
Q3:水疱(水ぶくれ)の段階があるか?
アフタは最初から浅い潰瘍として現れることが多いですが、ウイルス性は最初に小水疱が形成され、それが破れて「アフタ様」の潰瘍になります。
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②
Q4:発熱や倦怠感があるか?
アフタ性潰瘍では通常、発熱などの全身症状は見られません。熱がある場合はウイルス性(ヘルペス、ヘルパンギーナ、手足口病など)や、ベーチェット病などの可能性を考慮します。
Q5:手や足、皮膚に発疹はないか?
手足口病(手や足の裏)やベーチェット病(結節性紅斑など)のように、全身の皮膚症状がないかを確認します。
①でも、②でもはっきりしないとき
③
臨床所見で判断が難しく、確定診断がどうしても必要な場合には以下の専門的な検査を依頼します。
◆ペア血清(抗体価測定)
急性期と回復期の2回採血し、ヘルペス(HSV)や帯状疱疹(VZV)に対する抗体価を比較します。回復期に4倍以上の併昇が認められれば確定診断となります。
◆Direct検出法(PCR法・蛍光抗体法・ツァンク試験)
水疱や潰瘍底部から検体を採取し、ウイルスDNAの証明(PCR法)やウイルス巨大細胞の確認(ツァンク試験)を行います。
◆血液検査データ
通常のウイルス感染や単発のアフタでは白血球増加は見られませんが、全身性炎症疾患(ベーチェット病など)が疑われる場合は白血球数やCRP、HLA-B51(遺伝子マーカー)などのデータをチェックします。
アフタ性潰瘍の治療法
臨床診断の結果でアフタ性潰瘍であれば、歯科医院では症状の程度や個数に合わせて適切な治療を行います。
▶副腎皮質ステロイド薬の塗布・貼付
痛みの軽減と治癒期間の短縮を目的に、ステロイド含有軟膏(アフタゾロン®、デキサルチン®、ケナログ®など)や貼付薬(アフタッチ®)、噴霧薬(サルコート®)を使用します。
▶局所麻酔・うがい薬の併用
痛みが非常に強く食事が困難な場合は、お食事前に局所麻酔薬入りの含嗽薬(ガスコロンN®)などを使用し、痛みを和らげて栄養補給できるようにします。
⚠️ 注意!
もしウイルス性(ヘルペスなど)の初期症状であるにもかかわらず、誤ってステロイド軟膏を使用してしまうと、ウイルスの増殖を助長してしまうリスクがあります。だからこそ、自己判断せずに不安であれば歯科医院にご相談ください。
ご不安があればご相談ください
「お口の中にいくつも同時にできて食事が辛い 」
「熱っぽさや、歯茎全体の赤みを伴っている」
このような症状がある方は、ぜひ我慢せずに一度当院までご相談ください。明確な診察手順と適切な医療機関のご紹介で症状や原因の究明のお手伝いをいたします。


