医療法人翔陽会

本当にこわい歯根表面のむし歯

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本当にこわい歯根表面のむし歯

本当にこわい歯根表面のむし歯

2024/06/03

歯根表面のむし歯についてご説明いたします

歯の根面のむし歯は、臨床的に根面カリエス(以下、根面カリエス)とも呼ばれます。これは、治療難易度が高く、患者さまの認識以上に重篤な口腔衛生上の問題です。今回は、根面カリエスとは何か、なぜ起こるのか、実際にどのような治療法がとられるのかについて詳しく知ることができます。

根面カリエスとは何か?

多くの人は、むし歯になりにくい丈夫なエナメル質を持っています。一方で歯根表面は、歯冠のような厚く耐久性のある硬い保護被覆がありません。歯肉がエナメル質より下へ後退したり、加齢や歯周病などで歯肉が歯表面から離れたりすると、歯根表面が露出します。歯根表面はまったく保護されていないため、むし歯になりやすいのです。 通常のむし歯治療であれば、むし歯になった部分だけを人工材で詰めたり被せたりすることで歯を保存することができます。根面カリエスの場合、根面表面をすべて人工材で覆うこともできませんし、一部分を詰めたとしてもそれ以外は以前として耐久性がないことに変わりないためにむし歯の進行を止めることもできません。 仮に根面カリエスの治療を行ったとしても、歯周病の増悪、根面カリエスの再発、歯根のう胞、その他多くの歯科疾患を誘発し続けます。

根面カリエスの原因

原因は数多くあります。最も一般的な原因としては次のようなものがあります。

生活上の原因
患者さま固有の原因
その他の原因
フロスを用いた口腔衛生習慣がない
加齢による歯肉退縮
降血圧剤など口腔乾燥副作用のある薬剤
強すぎる歯磨きによる歯肉退縮
糖尿病
歯周病治療によって歯の寿命が延命されたため生じた歯肉退縮
喫煙
外傷 
歯列不正

根面カリエスの治療

歯根カリエスの適切な治療法は、むし歯の大きさと位置、痛みがあるかないかによって異なります。一般的な根面カリエス治療法には、次のものがあります。

歯周・予防歯科 –根面カリエスの初期であればそれ以上症状が進行しないように定期的なフッ素を用いた歯周治療および予防歯科処置を行います。当院における第1選択はこういった予防歯科処置です。むし歯を大きくしないことに主眼が置かれます。

歯を保存する歯科修復 ・根管治療ー 歯を保存しなければならない強い理由が存在する場合、根面カリエスに対して修復治療または根管治療を実施します。ただし、根面カリエスに対する保存治療成績は通常の歯冠に対する保存的治療にくらべ極めて悪いことが報告されています(※下記に参考とした文献を示します)。

抜歯 – 当院における中程度以上の根面カリエスに対しては抜歯が選択されます。前述の通り、根面カリエスに対する保存的治療の成績は極めて悪いため保存的治療は特段の理由がなければ実施されません。

※ Opdam NJ, van de Sande FH, Bronkhorst E, Cenci MS, Bottenberg P, Pallesen U, et al. Longevity of posterior composite restorations: a systematic review and meta-analysis. J Dent Res. 2014 Oct;93((10)):943–9. 

※  Schwendicke F, Göstemeyer G, Blunck U, Paris S, Hsu LY, Tu YK. Directly Placed Restorative Materials: Review and Network Meta-analysis. J Dent Res. 2016 Jun;95((6)):613–22.

※ Schwendicke F, Göstemeyer G. Cost-effectiveness of root caries preventive treatments. J Dent. 2017 Jan;56:58–64.

根面カリエスに関するよくある質問

以下に、根面カリエスについて患者さまから最もよく聞かれる質問のいくつかに対する回答を記載しました。ここに質問の回答が見つからない場合は、診察時に歯科医師へ直接相談したり、当院に遠慮なくご連絡ください。

何もしないとどうなるでしょうか?

口腔の健康問題は気づかないうちに進行します。つまり、適切な治療を施さなければ、時間の経過とともに深刻化する可能性があります。多くの人は、待っていれば口腔の健康問題は自然に治ると考えています。しかし、これはまったくの間違いです。根面カリエスは治るどころか大きくなり、歯の奥深くまで広がり、周囲の歯に影響を及ぼし始めます。痛みがでたり、隣接する歯にむし歯が移ります。

根管治療を行って歯を保存することはできますか?

根管治療は、むし歯が歯髄と呼ばれる歯の最も内側の層まで達した場合に実施されます。ただし、露出した根面は耐久性に乏しいためにこの処置を行っても再度細菌感染します。歯内療法専門医の多くは、根面う蝕に対する根管治療の成功率についてはそうでないむし歯による根管治療より低いとみなしています。

歯を抜く必要はありますか?

端的にいえば、抜歯を避けることはできません。根面カリエスの予後について考えると抜歯になる時期について、わずかに先延ばしできるか否かという問題に収斂します。一時的に保存的治療を試みたとしても再び症状が再燃します。その場合、やはり抜歯となります。ただし、抜歯するのが適切かどうかや抜歯後にどういった選択肢があるのかについては担当歯科医師にご相談ください。

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